Being Nagasaki~ 日本バプテスト連盟 長崎バプテスト教会 ~ English / Korean / Chinese
「出版に際して」 陶山 茂 一九七一(昭和四六)年の記念追悼式のあと出版の儀がおこりまして既に六年を経過しました。これには、そのはじめ客観的記録を中心に資料的意義を重視して取り掛かりましたところ、被爆当時の諸般の事情は今更に正確なデータの入手は極めて困難な事態であることに逢着しましたこと、又、この際出来るだけ多くの体験の寄稿を期待したいということで待合わせたことが挙げられます。 この出版を心待ち下さっていた、特に早くからの寄稿者のうちにはご召天になられた方々もありまして本当にお詫びの仕様もありません只この上は書き遺されたものに由り平和の祈りの輪を強くして、その深まりと拡がりを願うばかりであります。 この体験記出版の意図しますところは、まことに素朴かつ至純な動機に発するものでありますが、参考までに一九七二年春の原稿募集(第一次)文の一節を引用します。 「原爆の日より二七年の歳月が過ぎ、その記憶が薄れつつある今日、後世にその記録をとどめる為、各教会、各関係学校その他諸団体各位の原爆関係の資料、証言並びに体験記を集め、一冊の本として記念出版することを計画いたしました。」「編集の方針として客観的立場からの記録を中心に、キリスト者の立場より反戦と平和を願い、二度とこのような悲劇を起さないことを念願しております。」……(天野浩一郎NCC委員長) また、記録中心の出版を断念せねばならなくなった時点(一九七四年夏)で、被爆三十年記念の本年内刊行を目指して再度募集を訴えました、「唯今までのところ七名の方々から約九〇枚(四〇〇字詰)の原稿が届いております。……キリスト者としての平和への祈念をこめ、ご体験をお書き遺し下さいますよう……」(陶山出版委員代表)とお願いしました通りであります。 本年は被爆三十二周年を迎えますが、是非とも記念式には間に合わせたいと祈願中のところ諸教会、長崎キリスト教協議会(NCC)等から格別のご協力に与かるなど励まされながら数年来の務を果すことが出来ました。 実は、昨年春にも敢行したいと、ときのNCC委員長勇師から一文を預っておりましたが、その中に『「長崎の教会から厚爆被爆記録が出ないということは、教会の信仰的怠慢だ」とのまことに厳しい提言を長崎における証言運動に携っている誠実な一人のノン・クリスチャンから聞かされたことがあります。』と記されています。 正に、このたびの出版は速くにも為されねばならぬことでありました、み赦しを仰ぎながら改めて聖壇の供えものといたしたいとおもっております。 本体験記が所謂、墓碑銘としてではなく、聖父のみ意に基く指標として、動くことのない御国への信仰と希望を新たにさせられるばかりか、この世にある、主に属く者にふさわしい奉仕の業へと押し出させられるものとなるようにと祈っております。 一筆、経緯の一端をしたためてご高諒をお願いする次第であります。
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